大阪のおうどん

古くから、商人の町として栄えた大阪は、さまざまな農作物や海産物、人の往来の中で独自の食文化を形成してきました。
 最近では讃岐うどんに押されがちですが、大阪のおうどんには四百年にわたる歴史があります。その歴史は、豊臣秀吉が大阪城築城時に今の大阪市西区新町あたりの『砂場』に人夫のための市ができ、うどん屋や蕎麦屋が立ち並んだことに始まったといわれています。
 伝統的な大阪のおうどんは、つるっとしたのど越しで、めんがやわらかくモッチリとしていて断面は丸くなっています。角が丸いのは、『角を立てずに丸くおさめる』という大阪商人独特の発想だったのかもしれませんが、だしで炊く大阪のおうどんは、角が丸い方がだしとのからみが良くのど越しがいいのも確かです。このめんを、香りが良く薄味、飲み干せる旨味たっぷりのだしで食べるのです。古くから函館などに集まった北海道産の昆布が『天下の台所』といわれた大阪に海路で運ばれたこともあり、昆布をふんだんに使うのが特徴です。また、関東がかつお節を中心に使うのに対して、関西はさば節やうるめ節などの小魚の節を大量に使ってだしを取ります。これに薄口しょうゆを使い、味を整えるというのが大阪風です。具は薄揚げを甘辛く煮付けた『きつね』など、だしに味わいを加えるものが好まれます。『めん』『だし』『具』の三つがバランス良くどれか一つがでしゃばることがない三位一体のうまさが大阪のおうどんの特長なのです。

udon_logo.png 大阪府製麺商工業協同組合では、『大阪のおうどん』のロゴマークを作成し。大阪のおうどんの復活に向けて積極的に活動しています。大阪らしい『うどん』を、親しみを込めた温かい懐かしい響きを持つ『お』をつけた『大阪のおうどん』という名称で地域ブランドとして確立、その復活に挑んでいます。
 昭和三十~四十年代の昔懐かしいうどんの再現を目指して、原材料メーカーの技術開発の協力も得て、各社がそれぞれの『大阪のおうどん』の商品化に取り組んでいます。今後、各社のこうした取組みを一つの地域ブランドとして定着させ、全国に発信していきたいと考えています。